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<報告>平成27年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域 稲作振興のための中核的農学研究者の育成」

平成27年度JICA課題別研修(集団)「アフリカ地域稲作振興のための中核的農学研究者の育成」が、7月10日~8月12日にかけて、JICA中部とJISNAS会員大学の協力を得て実施されました。平成24年度から始まった本研修も、今年度から3年間の第2フェーズに入りました。CARDイニシアティブ対象国であるサブサハラアフリカ諸国のうち、今年度は10ヶ国より12名が来日し、当該国の稲作の改善のための課題の把握と解決に向けた研究アプローチについて研修に励みました。その概要をご報告いたします。

平成27年度の参加国と協力大学

■ 参加国(10ヶ国)
ブルンジ、コンゴ民主共和国、コートジボワール、エチオピア、ギニアビザウ、ナイジェリア、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビア

■ 協力大学
○岩手大学農学部
○茨城大学農学部
○新潟大学農学部
○岐阜大学応用生物科学科
○京都大学大学院農学研究科

○島根大学生物資源科学部
○鹿児島大学農学部
○三重大学大学院生物資源学研究科
○三重大学国際交流センター
○名古屋大学大学院生命農学研究科

インセプションレポート(IR)発表会【7月10日・13日】

研修開始に先立ち、インセプションレポート発表会が行われました。アフリカでの稲作や稲作振興に興味・関心のある日本人研究者等の参加のもと、各研修員は自国の自然環境、食料や農業等の現状の概要と稲作振興における課題を発表し、他国の研修員や参加者と意見交換を行いました。

コア研修【7月14日~7月27日】

150717四谷千枚田.JPG150715東郷フィールド.JPG

最初の2週間は、「コア研修」として、全研修員を対象に主にJICA中部にて実施しました。中核的農学研究者が専門分野を多角的にとらえることができるように、稲作に関わる基礎的な知識や技術、論理的思考方法(PCM手法)、日本における稲作振興のための技術開発と政策の関係等について、その分野で最もふさわしい講師によって講義を行いました。また、名大附属東郷フィールドの圃場を見学し、稲作の機械化に関する講義と実習を行いました。
 7月17日~18日には、三重県熊野市・伊勢市にて丸山千枚田、伊勢神宮神田の見学等、現地研修を行う予定でしたが、台風11号の接近により残念ながら中止となり、代替えとして愛知県新城市の四谷千枚田を見学し、日本の稲作に少し触れることができました。

個別研修【7月28日~8月7日】

コア研修終了後、研修員は、それぞれ事前にマッチングを行った7つの協力大学(JISNAS会員大学:岩手大学、茨城大学、新潟大学、岐阜大学、京都大学、島根大学、鹿児島大学)に移動し、研修員個々の専門分野の知識や研究手法等を深めることを目的とした「個別研修」に参加しました。当該研修員を対象に各々オリジナルメニューで専門性を高めるとともに、研修で学んだことを踏まえ、受入教員の指導やアドバイスを受けながら、帰国後の実施を想定した研究計画「リサーチプラン」の作成に取り組みました。
 受入大学の先生方には、研修員の指導カリキュラムやリサーチプラン作成の指導等、大変お世話になりましたことを感謝申し上げます。

つくば合同研修【8月10日~12日】

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研修の締めくくりにあたり、研修員と協力大学の教員(新潟大学、京都大学、島根大学、鹿児島大学、三重大学、名古屋大学)がJICA筑波国際センターに集合し、JICA筑波所管のアフリカ稲作研修のアフリカ人研修員にも参加を求め、リサーチプラン発表会を開催しました。
 その主な目的は①研修で培った知識と自国の現状をふまえ、アフリカ稲作分野における研究課題とその解決に向けた取り組みの方向性についての議論を深めること、②アフリカ地域稲作振興に関わるアフリカ人及び日本人関係者との人的ネットワークの形成を支援すること、であり、自国では普段交流することの少ない他職種(研究者と普及員等)との貴重な交流の機会となり、活発な議論がなされました。
 また、つくば合同研修1日目には、JICA筑波の農業機械実習棟及び農業・食品産業技術総合研修機構「食と農の科学館」を視察し、日本の農具の発達や機械化の歴史及び農業研究など我が国の農業の歴史と現状を学び、3日目には、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)で研修を行い、稲作に関わる国際研究についての講義を受けました。

閉講式

すべての研修日程が終了し、最後に閉講式が行われました。閉講式は、はじめにJICA筑波の渋澤研修業務課長より閉講の辞が述べられ、続いて、研修実施機関である名古屋大学農学国際教育協力研究センターの山内章センター長(代読:名古屋大学・浅沼修一名誉教授)による祝辞が披露されました。最後に、研修員一人ひとりに修了証書が授与され、研修員を代表し、Mr. ABUBAKAR Habibu Ndagi(ナイジェリア)から答辞が述べられました。

まとめ

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研修スケジュール4年目となる本研修はJICAのアフリカ稲作振興のためのイニシアティブ(CARD)に対する大学の協力の一環と位置づけています。中長期的な農学研究者の育成が重要であるとの認識のもと、JISNAS会員大学の協力を受けて実施しました。
 今後は、参加した研修員並びに教員のネットワークはもちろんですが、各国のCARD関係者も含めたコンソーシアムを構築し、研修員のフォローアップ、日本への留学や受入教員による現地指導、さらには日本とアフリカの共同研究等も視野に入れた活動に発展させていきたいと考えています。
 最後に、本研修にご尽力いただきましたJICA及びJISNAS関係者の皆様に感謝申し上げます。

研修スケジュール

 ◆H27Schedule(JN)


カテゴリ: JISNASの活動 |掲載日: 2015年10月 9日